Avian Influenza(トリインフルエンザ)とその防疫対策と基礎知識(1)

病原性の高さが違えば病名も変わるAI

AIとはトリインフルエンザという、鶏を含む家きんに発症する疾病で、オルトミクソウイルス属のA型インフルエンザウイルスによって引き起こされます。 インフルエンザウイルスは非常に変異しやすい特徴を持ち、特定のAIウイルス(血清亜型H5、H7)の中にはまれに、 非常に強い病原性を持ったウイルスに変異するものがあります。 世界では、これら高病原性に変異したウイルスをHPAI(High Pathogenic Avian Influenza) と呼んでいます。 HPAIに感染すると、全身性の疾患、発熱、昏睡、肉垂の浮腫、チアノーゼ、鬱血、顔面・頭部の浮腫、脚頸部の皮下出血といった症状を示し、 感染した鶏は1〜7日以内に100%死に至ります。最も強い毒性を示した例では、ウイルス接種後24時間以内に鶏が死にました。

一方、ほとんどのAIは、呼吸器症状や鼻汁、発熱、食欲の減退、産卵率の低下といった症状を示し、伝染性気管支炎 (IB;Infectious Bronchitis) やニューカッスル病 (ND;Newcastle Disease) のような、その他の鶏の呼吸器系疾病とよく似ています。これらほとんどの、低〜中程度の病原性を示すマイルドタイプの疾病をMPAI (Mild Pathogenic Avian Influenza) として明確に区別しています。ただし、マイルドであってもメキシコやペンシルバニア州で起きたMPAIでは、70%におよぶ致死性を示した例もありました。複合する感染症によって死亡率が格段に高くなる場合があります。

AIのウイルスには、表面にHA(Hemagglutinin;血球凝集素)とNA(Neuraminidase;ノイラミニターゼ)という2つのたんぱく質があり、そのたんぱく質の抗原性によって血清亜型が分類されます。HAは亜型H1〜15、NAは亜型N1〜9に分かれています。実はこのHAの亜型が高病原性と非常に強い関係を持っています。世界でこれまで分離されたHPAIウイルスはすべてH5かH7です。しかし、H5、H7のほとんどはMPAIであり、H5、H7が出るとイコールHPAIではありません。また、H4やH10の中には高病原性ではありませんが中等度の病原性を示すものがあります。その他の亜型はすべて低病原性です。