世界のHPAI発生状況とその背景(1)

はじめに

2001 年11 月9 日に米国コネチカット州の養鶏農場で家禽ペスト(高病原性トリインフルエンザおよび高病原性に変異し得る血清亜型H5 、H7 :当時)を疑う血清亜型が確認されてから続いた断続的な米国産家きん肉等の輸入停止は、当初、州単位でなく一国主義の輸入禁止措置がとられたこと、また日本のトリインフルエンザ(AI;Avian Influenza)の定義が国際定義と違っていたことなどから一時的な混乱が起きた。しかしその後、二国間の協議により「低病原性が確認され、かつ的確なまん延防止措置がとられていることが確認できれば州単位の輸入禁止措置とする」ことが定められ、その後AIの発生も各州政府の徹底したモニタリングと迅速なバイオセキュリティコントロールにより散発的になってきたことから、最近は両国および関係業者においても、ほとんど混乱はなくなっている(補則だが、病名も2003 年6 月11 日に家畜伝染病予防法が改正され「家禽ペスト」から「高病原性トリインフルエンザ」に改称された)。

一方で世界に目を向けると、中国(香港)および欧州では高病原性トリインフルエンザ(HPAI;High PathogenicAvian Influenza)の人間への感染という新たな問題が発生している。HPAI は国際獣疫事務局(OIE)でリストA に上げ明確に区別している。そのため、米国で発生した低病原性トリインフルエンザ(MPAI;Mild Pathogenic Avian Influenza)と同列に論じるものではないが、MPAI がHPAIに変異し得る以上、その防疫上のリスクや起きた場合の人間へのリスクなど知っておくことは重要だろう。ここでは中国、欧州および米国の事例を紹介しながらその中で見えてきた事実と背景を紹介する。

【 米国産家禽肉等輸入停止措置(2002年9月〜2003年8月) 】
米国産家禽肉等輸入停止措置(2002年9月〜2003年8月)